肛門周囲膿瘍

先生にお尻が痛いことを伝えると、ベットに横になってお尻を出すように言われました。先生が肛門を見ながら「ここが痛い?」といくつか触った中に、メチャクチャ痛いところがありました。

「イタタタッ。先生、そこが痛いです」

ズボンを履き直して先生の話を聞くと、優しい感じのイラストを使った冊子を開き「あなたは、この肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)です。肛門の横に膿が溜まっていて、それが痛みの原因です。そして、この膿がトンネルを作って外に出ようとしています。痔瘻の一歩手前の段階です。今日は切開して膿を出してしまいましょう」。

このまま肛門周囲膿瘍を放っておいた場合、膿の出口が自然に破裂して膿が排出されることがあるそうなのですが(ニキビを潰すように自分で破裂させて膿を出す強者もいるそうです)、それで自然治癒とはならないそうです。短期的には膿が放出されて痛みが和らぐのですが、しばらくすると膿が溜まって激痛を繰り返すらしいです。また、膿のトンネルが右に左にといくつもできて複雑化すると手術が大変になり、人工肛門や、癌にまでなってしまうそうです。お尻の中に膿が溜まる病気なので、初期症状も分かり難いとのことでした。

えっ、このまま手術?

正直驚きました。薬を塗ったり飲んだりして治して欲しいと思っていましたからね。心の整理がつかないまま別室で点滴(抗生物質だと思う)となったのです。この時の気持ちは、痛いという苦痛と切開という恐怖で、その場から逃げたい気持ちでした。そして、点滴がすべて落ちる前に看護師さんに呼ばれ、点滴をしたまま再び診察用のベットに横になりました。

「麻酔は痛いよ」

そう先生が言って手術が始まりました。麻酔は肛門付近に1本打たれました。先生が言うとおり、これは「激痛」でした。さらに、麻酔が効いていない?麻酔の量間違えていない?と思うほど、切開(切る)が痛かったです。切っている感覚も分かったし、2回メスで切ったことも分かりました。振り返ってみると、この「肛門周囲膿瘍の切開」が一番痛かったと思います(術後の汚物を洗浄する処置も激痛でした)。後述しますが、痔瘻の手術は腰椎麻酔をしたので、こうした痛みはありませんでした。

ぐごっ
ぐがっ

本当に痛い時は、こんな感じの声が出ますね。切開の手術は5分程度だったと思います。手術の後は普通に立つことができたので、自分の足で歩いて別室のベットに横たわり、点滴がすべて落ちるのを静かに見つめていました。

「あ〜痛かった。気絶すれば良かった」

気絶すれば良かった・・・、変な言い回しだと感じるかも知れませんが、痛みに耐えるのではなく、あんなに痛いならいっそのこと気絶すれば良かったと後悔しました。

その後、再び診察室に呼ばれると、肛門周囲膿瘍の切開後の痛みはそれほどなく、普通に椅子に座ることができました。若干の痛みは感じましたが、術前と比較すると驚くほど痛みが消えていたのです。先生の説明によると、かなり膿が溜まっていたそうで、醤油皿くらい出てきたとのことしでした。

そして、膿のトンネルに「ドレーン」と呼ばれるパイプのようなものを挿してあるとのこと。手術のショックで詳しくは覚えていませんが、このパイプを挿れておくことで、膿を溜めずに外に出すことができるそうです。

後になってなんとなく分かったのですが、切開してドレーンを挿れておかなければ傷口が塞がって、また切開して膿を出さなければならないのだと思います。要するに、この後の痔瘻の手術は絶対に不可避で、その為の準備だったのだと思います。

ドレーンは5日ほどで自然に取れたのですが、傷口が塞がらず膿が自然に出ていました。パンツを汚さないためにガーゼを当てたり、奥さんの生理用ナプキンを当てたりしていました。

次は、「痔瘻の手術まで」です。

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